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【コラム#34】障害者雇用の助成金はいくら貰える?助成金の活用事例も紹介

2021年3月より障害者雇用率が引き上げられたことにより、新たに障害者を雇い入れる必要が出てきた企業は少なくないでしょう。しかし、障害者といっても、その障害の種類や程度はさまざまであり、採用する障害者によって、支援の方法や必要な設備は異なります。どのような支援や設備を準備するにしても、相応の費用がかかる点は、多くの経営者の悩みの種になっているでしょう。このように、障害者雇用を推進するためには企業の資本力が必要であり、これが中小企業を中心に障害者雇用が伸び悩んでいる原因となっています。しかし、障害者雇用に関してはさまざまな助成金制度が設けられており、うまく活用すれば企業の経済的負担を軽減することが可能です。この記事では、助成金制度の種類や活用事例などを詳しく解説します。

 

※目次

1.障害者雇用の助成金制度とは

2.【種類別】障害者雇用助成金でいくらもらえる?

3.障害者雇用の助成金の活用事例

4.障害者雇用の助成金制度に関する注意点

5.まとめ

 

 

 

障害者雇用の助成金制度とは

 

 

障害者雇用における助成金はどのような仕組みで支給されるのでしょうか。ここでは、障害者雇用制度と助成金の関係や概要について解説します。

 

そもそも障害者雇用とは

 

障害者雇用とは、民間企業や自治体などが「障害者雇用枠」という特別な枠を設け、そのなかで障害者を雇用することをいいます。たとえ障害を持っている人を雇用したとしても、障害を持たない人と同じ条件である、「一般枠」で採用された場合は、障害者雇用とはいいません。

「障害者雇用枠」は、労働力市場で不利になりがちな障害者に雇用機会を提供するために設けられます。障害者が働くにあたっては、障害に配慮した職場環境や、適切な支援が必要な場合が多く、どうしても健常者に比べて採用される機会が減ってしまいます。

このような、障害者と健常者の格差を少しでも埋めるために、各企業は「障害者雇用枠」を設け、企業が許容できる範囲での雇用機会の均等化を図っているのです。

 

助成金制度の概要

 

企業が障害者を雇い入れるためには、相応の設備投資やサポート体制の構築などが必要です。そのため、障害者雇用を推進するためには、一般の採用にかかる費用とは別に障害者雇用のための予算を組む必要があるでしょう。このような企業の経済的負担を低減するために設けられているのが、障害者雇用に関連する助成金です。助成金制度は、多くの企業において障害者の雇用環境を確立し、社会全体で障害者雇用を推進させていくための間接的な支援策といえるでしょう。助成金制度については、「障害者雇用促進法」という法律で定められています。助成金の主な財源は、障害者雇用の実績が少ない企業から徴収した「納付金」です。この点からもわかるように、助成金制度は、障害者雇用を推進する企業とそうでない企業の費用負担の格差を埋める役割も果たしているのです。

助成金には、各種給付金を支給するものや、賃金の一部を助成する制度、適切な雇用管理や職場定着を行った際に支給されるものなど、さまざまな種類があります。いずれも、企業における経済負担を軽減し、障害者の雇用機会の拡大や定着を目指すことが目的です。障害者が、障害を持たない人と同じように働くための措置を講じることで、人材不足の解消や労働者の多様化につなげる狙いがあります。

 

 

【種類別】障害者雇用助成金でいくらもらえる?

 

 

障害者雇用に関連する助成金は、どの程度企業の経済的負担を緩和してくれるものなのでしょうか。ここからは、それぞれの制度ごとに具体的な助成金額を解説します。

 

特定求職者雇用開発助成金

 

特定求職者雇用開発助成金は、障害者雇用のみを対象にするのではなく、一般的に就労が困難であると考えられる対象求職者に対して支払われる助成金です。対象者によって8つのコースが設定されており、そのうち障害者が対象となるものは「特定就職困難者コース」と、「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」の2種類となっています。

まず「特定就職困難者コース」は、高齢者や障害者、母子家庭の母親などを対象にした助成制度です。ハローワークなどの職業紹介事業所を介して雇用されること、そして継続して雇用保険の一般被保険者として雇用されることが助成金の支払い条件です。例えば、身体・知的障害者を、短時間労働者ではない従業員として中小企業が雇用した場合、2年の支給期間で合計120万円が支給されます。しかし、大規模企業の場合は1年間で50万円の支給になるなど、企業規模や、労働時間などによって支給額や期間が異なります。

「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」では、その名の通り発達障害や難治性疾患を持つ障害者を継続的に雇用した際に助成金が支給されます。これらの労働者を、中小企業が短時間労働者ではない従業員として雇い入れた場合、2年間の支給期間で合計120万円の助成を受けることができます。中小企業以外の場合は1年間で50万円の助成金額となるなど、こちらも企業規模によって金額が大きく変わるので注意しましょう。また、対象者が短時間労働者の場合は、中小企業の事業主へは2年間で80万円、中小企業以外は1年間で30万円の支給がされます。

ちなみに、「中小企業」がどのような定義でなされているのかは厚生労働省の「雇用関係助成金に共通の要件等」に記載があります。業種や労働者数、資本金や出資額によって異なりますので詳しくは下記をご参照ください。

 

出典:雇用関係助成金に共通の要件等

 

トライアル雇用助成金

 

トライアル雇用助成金は、働いた経験がない、もしくは休職でブランクがあるなどの理由で就労に不安がある障害者のために、採用の前に一定期間、試用的に業務を行ってから雇用の可否を決定できる制度です。トライアル雇用期間を終えて、利用者と企業の双方が就労を希望した場合は、そのまま継続的な雇用関係が結ばれる形式になっています。

トライアル雇用制度を利用すれば、業務内容や職場環境を把握できるため、求職者側はその仕事が自身に合っているかどうかを判断することが可能です。また、企業側にとっても、実際に求職者が働く姿を確認できるため、安心して採用できるメリットがあります。

障害者を対象としたトライアル雇用制度には、「障害者トライアルコース」と、「障害者短時間トライアルコース」の2種類があります。「障害者トライアルコース」では、対象者が精神障害者の場合、月額最大8万円を3ヶ月、最大4万円を3ヶ月と、最大合計6ヶ月間支給を受けることができます。それ以外の障害者の場合は最長3ヶ月間で月額4万円です。

「障害者短時間トライアルコース」の場合、対象者1人につき最大12ヶ月間の支給期間のうち、月額最大4万円までとなっています。

 

障害者雇用納付金制度に基づく助成金

 

納付金を財源とする助成金は、上述の通り、障害者雇用を推進する企業と、そうでない企業の経済的負担の格差を縮めるために機能しています。助成金の種類は条件によってさまざまで、「調整金」「報奨金」などがあります。

「調整金」は常時雇用している労働者が100人を超えている事業主のうち、法定雇用率以上の障害者を雇用している場合に支給される助成金です。法定雇用率を超えて雇用している障害者1人につき、月額2万7,000円が支給されます。

「報奨金」は常時雇用している労働者が100人以下であり、かつ各月の雇用障害者数の年間合計が一定数以上の場合に支給される助成金です。ここでの一定数は、各月の雇用労働者数の4%にあたる年間合計数、もしくは72人のいずれか多い数となっており、この数を超えて雇用している障害者1人につき、月額2万1,000円が支給されます。

 

人材開発支援助成金

 

人材開発支援助成金は、労働者の人材育成や職業訓練を行った際の経費や訓練中の賃金などを助成する制度です。こちらも対象者によってコース分けがされており、障害者雇用に関連するコースには、「障害者職業能力開発コース」があります。このコースでは、障害者に対して職業能力開発事業を行う場合、またはこれを行うために必要な施設・設備の設置や更新をする場合に助成金が支給されます。

助成金額は、障害者職業能力開発訓練事業を行う訓練科目ごとに、施設や設備の設置や整備にかかった費用のうち4分の3を乗じた額です。また、初めて助成金の対象となる場合は5,000万円が上限となり、設備の更新については1,000万円が上限と定められています。

 

 

 

障害者雇用の助成金の活用事例

 

 

では、これらの助成金が実際にどのような形で利用されているのか、活用事例をご紹介します。

 

障害者用トイレの新設

 

電子部品の販売・修理を行うA社は、車椅子を利用する障害者の雇用を決定しました。ところが、A社の施設には車椅子で利用可能なトイレがなく、採用を決めても出勤できる状況ではありません。そこで、「障害者作業施設設置等助成金」を活用し、障害者用トイレを新設しました。トイレが完成するまでの間は在宅就業をしてもらい、障害者用トイレが完成後は、本社での勤務が可能になりました。

 

手話通訳者の配置

 

B社では聴覚障害のある従業員が働いているため、業務上のやりとりでは筆談や口話、初歩的な手話を使ってコミュニケーションをとっていました。しかし、これらのやりとりでは、複雑な業務連絡が難しく、担当できる業種が限られるという問題がありました。さらに、外部との提携や委託業務なども増えたため、より的確なコミュニケーション方法を確立しなければなりません。

そこで、手話通訳者を雇い入れ、助成金をその賃金などに充てました。その結果、的確な情報共有ができるようになり、より円滑な業務が可能になりました。また、聴覚障害者本人にとっても、担当できる業務の幅が広がるなど、能力開発の助けにもなっています。

 

点字ディスプレイの整備

 

プログラミング開発を行うC社では、視覚障害1級で全盲の障害者を雇用しました。当初はパソコンの画面読み上げソフトを利用して業務を行っていましたが、プログラムの設計に必要な細かな文字情報を正確に読み取ることができなかったり、音声情報だけでは理解に時間がかかったりすることが課題となっていました。

そこで、C社は点字を利用した情報共有ができないかと考え、就労支援機関から点字ディスプレイを貸与してもらいました。試用したところ、音声情報以上に正確な情報共有が可能となったため、助成金を利用して点字ディスプレイを導入しました。点字を活用することによって、より正確な情報取得が可能になっただけではなく、作業の効率化を図ることができました。

 

住宅手当の整備

 

収納容器の製造・販売を行うD社の営業職として長年勤務していたEさんは、病気によって四肢に障害が残り、身体障害2級という重度身体障害者に分類される障害が残りました。D社はEさんを移動の少ない事務職へ配置転換するなど、雇用を継続させようと努めました。しかし、Eさんにとって、公共交通機関を利用した日々の通勤は非常に困難で、退職をも考えるほどでした。

そこで、D社は助成金を利用して事業所からほど近い場所にバリアフリーの住宅を貸借し、Eさんの通勤の負担を軽減する措置をとりました。結果的に、Eさんは継続して出勤することができるようになり、D社も貴重な戦力を失わずに済みました。

 

 

 

 

 

障害者雇用の助成金制度に関する注意点

 

 

最後に、助成金制度を利用するにあたっての注意点を解説します。

 

障害者の種類でカウントが変わる

 

雇用対象となる障害を持つ労働者の数え方は、原則は常用労働者1人につき1、短時間労働者は1人分を0.5とカウントするというルールになっています。しかし、障害の種類によっては例外が発生するため、カウント方法が変わることがあるので注意しましょう。

 

例えば、身体障害者手帳の1級や2級に該当する「重度身体障害者」や、療育手帳のグレード1、Aなどに該当する「重度知的障害者」を雇用する場合、1人につき2人分というカウント方法になります。重度障害者が短時間労働者に該当する場合は、0.5人のところを1人としてカウントします。

また、精神障害者に関しては「重度」という区分がありませんが、2023年3月31日までに雇い入れられた精神障害者福祉手帳を持つ精神障害者は、短時間労働者の区分であっても1人分を1とカウントすることが可能です。

 

障害者ごとに適した環境整備が必要である

 

障害を持つ人にとって働きやすい環境に整えるためには、それぞれの障害にあわせた整備や配慮を行う必要があります。例えば同じ「身体障害」であっても、四肢障害と視覚障害では求められる配慮や環境整備は大きく異なります。雇い入れる障害者数が増えれば増えるほど、さまざまな障害特性に対応できる職場環境の整備が必要なのです。

また、類似した障害特性を持つ障害者ばかりを雇用したとしても、障害の程度や、その人の性格や生育歴によって、必要なサポートは異なります。障害者に優しい環境の整備とは、設備面だけでなく、サポート体制の構築など、組織内部の整備でもあることを覚えておきましょう。障害者であっても、一般の従業員と変わらず、その人の考え方を知り、目標にむかって共に歩む姿勢が大切です。

 

 

 

まとめ

 

 

障害者を雇い入れたくても資本面で難しい、という企業にとって、障害者雇用に関連する助成金制度の存在は大きな活路となるでしょう。ただし、助成金制度は数種類あるうえに、適用条件なども細かく定められているため、事前にどのような助成金があり、どのタイミングで申請すれば良いのか把握しておくことをおすすめします。

これらの助成金制度を上手に活用すれば、自社の経済的負担を最小限に抑えながら、余裕を持った障害者雇用を実践していけるでしょう。

H&Gでは障害者雇用に関するノウハウを蓄積しています。障害者雇用をご検討の方は、長期雇用実績のあるH&Gまでぜひお気軽にご相談ください。