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【コラム#02】障害者雇用に関する助成金制度について学ぼう!各種助成金をまとめてご紹介

近年、ダイバーシティ(多様性)という言葉がよく聞かれるようになりました。企業にあてはめれば、年齢、性別、人種、国籍などを問わず、個人の多様なあり方を尊重して人材活用するという意味です。この考え方は、障害者に関しても同様です。
それぞれの障害の特性に配慮することにより、障害のある人もない人も共に働ける社会が当たり前となるように、国は障害者雇用対策を進めています。障害者雇用率制度や合理的配慮の義務、障害者への差別禁止・虐待防止などを定めた障害者雇用促進法もその一つです。また、障害者を雇用した場合に受け取れる助成金制度も用意されています。この記事では、障害者を雇用した場合の助成金制度についてご紹介します。

 

※目次

1.障害者雇用の助成金制度とは

2.障害者雇用助成金の種類(雇用する場合)

3.その他の助成金の種類

4.障害者雇用助成金制度の注意点

5.まとめ

 

 

障害者雇用の助成金制度とは

 

 

障害者雇用への不安や負担を軽くするために、さまざまな相談・支援制度や、助成金制度が設けられています。では、障害者雇用の助成金制度はどのような目的で、何のために作られたのでしょうか。ここでは、その目的と概要、具体的な対象などについてご紹介します。

 

障害者雇用助成金の目的

 

障害者雇用助成金は、障害者雇用を促進するために、実際に障害者を雇用したり雇用を継続しようとしたりする事業者に対して、国や自治体が支給するお金です。
障害を持つ人と持たない人が、均等に雇用の機会を与えられ共に仕事をすることで、障害者にとっては生きがいや自信、そして社会の一員としての居場所を見つけられるといったメリットがあります。事業者や障害のない人にとっては、埋もれていた才能や新しい個性に出会うことで、これまでとは違った働き方やアイデアが生まれ、生産性が上がることも考えられるでしょう。

 

この後詳しくご紹介しますが、助成金には障害者を雇用することにより支給されるものだけではなく、障害者が働きやすい環境を作るための資金や、安定して長く働いてもらうための取り組みに対して支給されるものもあります。事業者にとって負担となる部分をサポートし、障害者雇用を広げていくことがこの助成金の目的なのです。

 

障害者雇用助成金の対象

 

では、具体的に障害者雇用助成金の対象となるのは、どのような場合でしょうか。

 

厚生労働省のWebサイトによれば、障害者雇用促進法の障害者雇用率に関する制度が適用される「障害者」の範囲は、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を所有している方とされています。ただし、障害者雇用助成金の場合にはこれらに加え、手帳を所持していなくても、統合失調症・双極性障害(そう病・うつ病を含む)・てんかんの方を雇用した場合にも対象となります。

 

また、雇用関係の助成金を受給する事業主に共通する条件として、下記の要件が求められています。

・雇用保険適用事業所であること
・支給のための審査に協力すること
    ・支給決定のための審査に必要な書類などを整備、保管していること
    ・支給決定のための審査に必要な書類などの提出を求められた場合に応じること
    ・管轄労働局などの実地調査に応じること
・申請期間内に申請を行うこと

 

 

障害者雇用助成金の種類(雇用する場合)

 

 

それでは、障害者雇用助成金にはどのようなものがあり、どのような条件で支給されるのでしょうか。障害者を雇い入れる場合には、主に3つの助成金制度があります。

 

 

特定求職者雇用開発助成金

 

特定求職者雇用開発助成金とは、一定の条件に該当する方を雇用したり、初めて障害者を雇用したりした場合に支給される助成金です。これには3つのコースが設けられています。いずれも支給額などの詳細は厚生労働省の資料をご参照ください。

 

特定就職困難者コース

 

障害者や高年齢者など、就職が困難な方を雇用した場合に支給される助成金です。雇用される方は、ハローワーク、または指定を受けた民間の職業紹介事業者などから紹介された方でなければなりません。また、雇用保険の一般被保険者として、65歳に達するまでかつ2年以上継続して雇用することが条件です。助成金の支給額は、事業所の規模と雇用した方の特性によって異なります。

 

発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

 

障害者手帳を所有していない方のうち、発達障害(自閉症・アスペルガー症候群・その他の広汎性発達障害・学習障害・注意欠陥多動性障害など)、または難病のある方を雇用した場合に支給される助成金です。ハローワークまたは指定を受けた民間の職業紹介事業者などの紹介により雇用した方で、雇い入れた時点の年齢が65歳未満である場合に適用されます。また、雇用保険の一般被保険者として、65歳に達するまでかつ2年以上継続して雇用することが条件です。助成金の支給額は、短時間労働者か否かと、事業所の規模によって異なります。
なお、事業主は雇い入れた方への配慮事項を報告しなければなりません。また、雇い入れから約6ヶ月後にハローワーク職員などによる職場訪問が行われます。

 

障害者初回雇用コース

 

初めて障害者を雇用した中小企業が、障害者雇用促進法に定められた障害者雇用率を達成した場合に支給されます。受給のためには以下の条件を満たすことが必要で、受給額は120万円です。

 

・従業員が45.5人~300人の事業所の事業主であること

・初めて身体障害者や知的障害者、精神障害者を雇い入れ、その最初の1人を雇用した翌日から3ヶ月以内に障害者の雇用を増やし、障害者雇用促進法に定められた法定雇用率を達成すること。(短時間労働者の場合は、2人を雇用して1人と換算する。)

・最初の1人を雇用する前日から過去3年以内に、対象障害者の雇用実績がないこと

 

 

トライアル雇用助成金

 

トライアル雇用助成金とは、事業者がトライアル雇用または短時間トライアルコースの対象者を雇い入れた場合に支給される助成金です。

 

トライアル雇用とは、いずれ継続して雇用することを目的に、対象の障害者を試行的に雇用することです。トライアル雇用の期間は、身体障害者・知的障害者(重度を除く)は原則3ヶ月、精神障害者は原則6ヶ月ですが、前者は場合によっては1ヶ月または2ヶ月とすることができ、後者は12ヶ月まで延長することができます。また、トライアル雇用の1週間の労働時間は20時間以上となります。対象となるのは、経験のない職業に就こうとする方や2年以内に離職・転職が2回以上ある方、6ヶ月以上離職している方などで、重度身体・知的障害者・精神障害者です。

 

短時間トライアル雇用は、同じくいずれ継続して雇用することを目的にしていますが、対象者は精神障害者と発達障害者で、期間は3ヶ月以上12ヶ月以内、1週間の労働時間は10時間以上20時間未満となっています。ただし、1週間の労働時間は、環境調整などをしていずれ20時間以上となるように、本人とともに目指さなくてはなりません。

 

雇い入れの条件としては、ハローワークや指定を受けた民間の職業紹介事業者などの紹介であること、本人がトライアル雇用を理解し望んでいること、トライアル雇用期間について雇用保険被保険者として届け出ることです。

 

なお、今般の新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で、トライアル雇用期間中に休業した場合など、トライアル期間の変更が認められる場合があります。詳しくは厚生労働省の資料をご参照ください。

 

障害者雇用安定助成金(障害者職場適応援助コース)

 

障害者雇用安定助成金は、雇い入れた対象者が職場に適応し定着できるように支援すべく、職場適応援助者を利用する事業者や、職場定着のための方策を行う事業者に対して支給される助成金です。ここでいう対象者とは、障害者雇用で雇い入れた身体障害者や知的障害者、精神障害者、発達障害者、難病や高次脳機能障害のある方などです。

 

この助成金には、雇い入れる際に必要な「障害者職場適応援助コース」と定着のために必要な「障害者職場定着支援コース」の2つのコースがあります。ここでは、雇い入れる際に利用する「障害者職場適応援助コース」についてご紹介します。

 

このコースは、訪問型職場適応援助者と企業在籍型職場適応援助者による支援に対する助成金です。
訪問型職場適応援助者は、事業主からの要請を受けて、支援計画に基づいた支援を行います。期間は最長1年8ヶ月、精神障害者は最長2年8ヶ月となっています。また、企業在籍型職場適応援助者は、最長6ヶ月の支援計画に基づいて対象者および家族に対する支援、 事業所内での職場環境調整、関係機関との調整などを行います。

 

なお、障害者雇用安定助成金に関しては、2021年度より両コースを見直し、援助の整理や統廃合が行われる予定です。詳しくは、都道府県労働局またはハローワークへお問い合わせください。

 

出典:厚生労働省 障害者を雇い入れた場合などの助成

 

 

 

その他の助成金の種類

 

 

さて、ここまで障害者を雇い入れた際に利用できる助成金をご紹介しました。このほか、障害者を継続して雇用できるようにするために、企業が負担した金額などについての助成金が用意されています。

 

障害者雇用納付金制度に基づく助成金

 

障害を持つ方と持たない方が同様の働き方を実現できるように、事業主には「合理的配慮」が求められます。これは単なる思いやりや優遇ではなく、双方が平等に快適に働く環境を得られるように、具体的な対応策を考えることです。
実際の例としては、障害者対応トイレの設置や職場のバリアフリー化、手すりの設置、点字表示の設置、通勤を容易にするための賃貸住宅や駐車場の準備、職場介助者や相談員の配置などが挙げられます。

 

これらの合理的配慮を行う際に事業主が負担した費用の一部を、助成金として受け取ることができます。最近では、カメラや音声を使用するICT(情報通信技術)の利用も支給の対象となっています。

 

なお、この助成金制度には、行った合理的配慮によってさまざまな種類があります。詳細は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のWebサイトをご確認ください。

 

出典:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 助成金等

 

人材開発支援助成金

 

人材開発支援助成金の一つに、「障害者職業能力開発コース」があります。事業主が雇用している障害者の職務に必要な能力を開発、向上させるために、一定の期間継続的に教育訓練を行った場合に支給される助成金です。
この助成金を受けようとする場合、まず、先に述べた「障害者雇用助成金の対象となる雇用主の条件」を満たしていなければなりません。そして、6ヶ月以上2年以内の期間、厚生労働大臣が定める基準に適合する教育訓練を実施することが条件です。教育訓練を受ける対象となるのは、身体障害者や知的障害者、精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害や難病のある方です。

 

この教育訓練を実施する費用や、教育訓練に必要な施設の設置や整備、運営をするための費用について、助成金を受給することができます。支給額は、受講する障害者の状況や訓練内容に応じて設置した施設の概要などにより異なるため、詳細は厚生労働省Webサイトからお問い合わせください。

 

出典:厚生労働省 人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)

 

障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)

 

前述の通り、障害者雇用安定助成金には「障害者職場定着支援コース」があります。ここでは本コースをご紹介します。

 

障害を持つ方が継続して雇用され職場に定着するためには、障害を持たない人と全く同じ条件での働き方では難しい場合があります。「合理的配慮」は物理的環境のみではないのです。

 

「障害者職場定着支援コース」では、障害者雇用の促進を行っていて、障害を持つ方が働きやすい環境を作る以下の7つの措置を行う事業所に助成金が支給されます。詳しい支給の条件や金額については、行った措置によって異なるため、厚生労働省Webサイトをご参照ください。

 

1.柔軟な時間管理・休暇取得

2.短時間労働者の勤務時間延長

3.正規・無期雇用への転換

4.職場支援員の配置

5.職場復帰支援

6.中高年障害者の雇用継続支援

7.社内理解の促進

 

出典:厚生労働省 障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)

 

 

 

 

障害者雇用助成金制度の注意点

 

 

これまでにも何度か触れてきましたが、障害者雇用助成金制度を受けるためには、雇用関係助成金受給のための共通の要件があります。詳細は「障害者雇用助成金の対象」に記載した通りですが、そのほかにも前提として以下の点に留意しましょう。

 

実雇用率のカウントに気を付ける

 

従業員が一定以上の人数の規模の民間の事業所では、障害者の法定雇用率を守ることが義務として障害者雇用促進法で定められています。
2021年3月1日より、法定雇用率は2.3%に引き上げになります。最新の法定雇用率にも注意が必要ですが、実雇用率を出すためのカウントにも注意が必要です。雇用されている障害者の障害の種類や重度、勤務時間によって、雇用者数の数え方が変わるためです。違反すると行政指導などの対象となるため気を付けましょう。

 

出典:厚生労働省 障害者雇用のルール

 

障害者が働きやすい環境を整える

 

障害と一口に言ってもその内容はさまざまで、個人によって違いがあります。障害の内容だけを聞いて、自分たちの職場ではこんな障害のある方は働けないだろう、と決めてしまうのは早計でしょう。合理的配慮の部分で触れましたが、一人ひとりの求めていることに耳を傾けることにより、少しの工夫で障害を持つ方と持たない方が同じように仕事のできる環境が整うこともあります。障害者が働きやすい環境は、障害を持たない方にとっても働きやすい環境だと言えるでしょう。

 

 

まとめ

 

この記事では、障害者雇用に関する助成金についてご紹介しました。現在、障害者雇用は広がってきていますが、障害の種類や重さによってはなかなか雇用につながらない方もまだ多いでしょう。国が推進する助成金制度を利用して、事業者が積極的に障害者雇用を促進することで、埋もれた才能が掘り起こされます。
障害者雇用についてお悩みの方は、ぜひ一度H&Gにご相談ください。グループ会社のH&Hでは精神障害に特化した訪問看護サービスを提供しており、日常生活からのトータルサポートも可能です。