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【コラム#40】障害者雇用に積極的な大企業の特徴とは?成功のポイントなどを解説

障害者雇用を進めるにあたっては、設備投資やサポート体制の構築が欠かせません。当然、相応のコストがかかるため、障害者雇用を推進しやすいのは資本力のある大企業といえます。現に、厚生労働省の調査でも、企業規模が大きくなるにつれて障害者の実雇用率が上昇する傾向があることがわかっています。今や、大企業では障害者雇用への取組みは一般的になりつつあるといって良いでしょう。では、大企業が障害者雇用をするうえで得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?この記事では、大企業にとっての障害者雇用のメリットや成功させるポイントなどを解説します。

※目次

1.障害者雇用とは

2.大企業で障害者雇用を推進するメリット

3.障害者雇用に積極的な企業

4.企業で障害者雇用を成功させるポイント

5.まとめ

 

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障害者雇用とは

 

 

 

障害者雇用とは、「障害者雇用枠」という特別な枠を設けて採用活動を行うことをいいます。障害者雇用枠では、障害があることをオープンにして就労できるため、障害特性や程度に応じた業務内容に携われるほか、配慮を受けながら働くことができます。

 

障害者雇用の対象者

 

障害者雇用の対象になる「障害者」とは、どのような人達を指すのでしょうか。障害者雇用促進法では、障害者を、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」と定義しています。このうち、企業の「障害者雇用枠」の対象となり、「法定雇用率」の算定対象となるのは、障害者手帳を保有している障害者です。心身の機能の障害により困難を抱える場合であっても、手帳を持たない方の場合は、障害者雇用の対象外となるので注意しましょう。

 

一般雇用との違い

 

障害者雇用枠の求人に応募できるのは手帳を持った障害者だけです。企業は最初からその人がどのような障害を持ち、どのような配慮が必要かを確認してから採用することができます。障害者にとっても、障害特性を事前に相談し、配慮を受けながら働くことができるのは大きなメリットです。

一方、たとえ障害者であっても、一般雇用の採用枠に応募できない訳ではありません。また、企業側においても、障害者であることを理由に一般雇用枠での応募を拒絶することはできません。そのため、能力や雇用条件が合致すれば、障害者が一般雇用枠で採用されるケースもありえるでしょう。しかし、一般雇用枠で採用された場合、障害者は企業側に対し、自身の障害特性への合理的な配慮を求めることはできません。もちろん、企業の厚意で配慮を得られる可能性はありますが、基本的に企業にはその義務はありません。また、業務においても、健常者と同等以上のパフォーマンスが求められ、休暇や休憩など働き方においても健常者の従業員と同じように扱われます。このことから、業務を行ううえで障害への配慮が必要な人は、障害者雇用枠での採用を検討した方が、仕事を続けやすいといえるでしょう。

 

 

大企業で障害者雇用を推進するメリット

 

 

 

 

障害者雇用促進法などの整備が進んだことで、障害者を積極的に雇入れる企業は増えてきました。一見すると、企業側にコストがかかるイメージのある障害者雇用ですが、なぜ多くの企業が障害者雇用を推進するようになってのでしょう。ここでは、企業が障害者を雇用することによって得られるメリットについて解説します。

 

企業イメージが向上する

 

近年、CSR(企業の社会的責任)活動を重視する企業が増えています。CSRとは、企業が社会の構成員として、責任ある行動をしなければならないという考え方をいいます。つまり、自社の利潤だけを追求するのではなく、社会のなかでさまざまな立場の人・企業と共生する道を探していくことは、企業の社会的責任と考えられているのです。このような理念を実現する方法の1つとして、障害者雇用は注目されています。障害者に雇用機会と活躍の場を与えるということは、大切な社会貢献です。また、共生社会の実現に向けて企業が率先して実践する姿勢は、多くの消費者や投資家、取引先の共感を得ることができるでしょう。

 

人材を有効活用できる

 

現在、わが国ではすでに少子高齢化が進み、今後着実に生産年齢人口は減少していきます。多くの職種において、人材不足は深刻な問題となるでしょう。これからは、どの業界においても人材の確保が大きな課題になります。そのため、これまで労働市場でマイノリティとされてきた人材に活躍してもらおうという動きが強まっています。すなわち、子育て中の女性や高齢者、そして障害者です。このような方達は、仕事をするうえでなんらかの配慮が必要となるため、これまでは積極的な採用の対象にならない傾向がありました。しかし、働くうえでの障壁を排除し、企業が可能な限りの配慮を行うことで、素晴らしい労働力としての活躍が期待されています。

政府の推進する働き方改革や、コロナ禍におけるテレワークの普及により、一般労働者のように働けない事情がある方も活躍しやすい環境が整いつつあります。このようななか、障害者がいきいきと働ける環境を構築し、大切な労働力として成長してもらうことは、企業にとってもメリットが大きいといえるでしょう。

 

業務フローを改善できる

 

障害者は、その障害特性や程度により、できる仕事が限られている場合も少なくありません。そのため、障害者を雇入れる際は、障害者の方に任せられる業務を準備する必要があります。多くの場合は、新たに業務をつくるというよりは、既存の業務のなかから責任が軽く、難易度が高くない作業を切り出すことになるでしょう。こういった業務の切り出しは、企業にとって多少の負担になるものの、業務フローを見直すにあたっては良い機会になります。軽微な作業を障害者の方にお任せし、重要な業務に集中できる体制が構築できれば、職場全体の作業効率を向上させることができるでしょう。

 

多様な働き方を尊重する

 

現在、先進国を中心に「ダイバーシティ」という理念を掲げる企業・団体が増えています。ダイバーシティとは、直訳すると「多様化」という意味になります。社会全体において、年齢・性別・人種など問わず、さまざまな属性の人が共生していく状態を目指すのが、ダイバーシティの考え方です。ダイバーシティは、もともとは人権問題に関連して生まれた理念でしたが、現在は企業においても、「ダイバーシティ・マネジメント」は重要な経営戦略として位置づけられています。

 

企業における多様化とは、さまざまな事情を抱えた労働者が、互いに尊重し合い、助け合う組織づくりを指します。企業のグローバル化や、従業員の高年齢化、障害者雇用によって、今後企業組織にはさまざまな労働者が属していくでしょう。企業は、従業員1人1人の事情に寄り添い、すべての従業員が働きやすい環境を追求していかなければなりません。

障害者が自身の能力を活かし、いきいきと働ける職場環境を構築することは、ダイバーシティという観点からも大切なのです。

 

 

 

 

 

 

障害者雇用に積極的な企業

 

 

 

「理想的な障害者雇用」は、障害者に適切な業務を与え、公正な評価体制を構築することで実現されます。すでに障害者雇用を推進し、成功している企業では、どのような方法を採用しているのでしょうか。ここでは、障害者雇用の成功事例を企業ごとに紹介していきます。

 

ゼネラルパートナーズ

 

ゼネラルパートナーズは、2003年に民間初の障害者雇用における人材紹介会社として創業しました。それまでの、障害者の就労あっせんを担う機関がハローワークしかなかった状況に新たな風を吹かせ、障害を持つ人の雇用機会を創出してきました。現在では職業紹介事業だけでなく、求人メディアや障害者向けの情報メディアの運営から就労移行支援事業所の開設など、多角的に障害者雇用にかかわり、幅広く事業経営を進めています。

東洋経済における障害者雇用率が高い企業ランキングでは2020年度において1位となる20.53%を記録し、2021年現在の法定雇用率である2.3%を大きく上回りました。また、同社では、就労の継続が難しい精神障害者のために「アスタネ」という就労継続支援施設を運営しており、精神障害と相性が良いとされる農業での分野における積極的な雇用を実現しています。

 

エフピコ

 

食品トレーの全国シェアナンバーワンであるエフピコグループは、1986年の特例子会社設立をはじめ、2007年には民間法人で初のA型支援事業所を開設するなど、全国的にみても早くから障害者雇用に取り組んできました。一般的な障害者雇用では、非正規雇用での求人が多いなか、エフピコグループでは一貫して正社員としての障害者雇用を方針としています。また、能力のある障害者には、積極的に事業の中核職に抜擢するなど、働く人のやりがいや意欲を大切にしています。また、「人を育て、ともに幸せに」という企業方針のもと、一般企業への就職が難しい知的障害者の雇用にも取組みんできました。

前述の障害者雇用率ランキングでは2020年度において2位を記録し、障害者雇用率13.60%を記録しました。就労支援事業所を全国20カ所以上に展開していることから、雇用機会が得にくい地方在住の障害者にとっても明るい光となっています。

 

エイベックス

 

大手レコード会社であるエイベックスは、障害者雇用の一貫としてパラリンピックを目指す障害者アスリートの支援を行っています。「エイベックス・チャレンジド・アスリート」という名を冠したこの取り組みでは、選手を正社員として登用し、安定した雇用関係のもと、アスリートとしての活動をサポートしてきました。パラリンピックや世界選手権など著名な大会でメダルを獲得する選手もおり、現在は10人を超える選手が所属しています。

また、2010年より障害者雇用に特化したサテライトオフィスを設立し、障害者にとって働きやすいバリアフリー環境を構築しました。現在は人事部の業務を中心に受託していますが、将来的には他部門への業務開拓を目指すなど、常に前進を続けています。

 

ファーストリテイリング

ユニクロやGUなど、日本のファストファッションを牽引するファーストリテイリングは、2001年に障害者雇用を開始した際に、「1店舗につき1名は障害者を雇用する」という目標を掲げました。この目標は2012年以降、10年近くにわたり達成され続けています。2020年度の同社における障害者雇用率は4%を超え、日本のみならず海外店舗においても障害者の雇用に注力しているのが大きな特徴です。

 

店舗設備やオペレーションについても、顧客や店舗スタッフのフィードバックを参考にしながら検証を重ね、フィジカル・メンタル両面のバリアフリー化を目指しています。また、店長や従業員向けに障害者雇用の研修を行い、さまざまな障害特性についての理解を深め、より良いマネジメント行えるよう現場を支援しています。

 

 

企業で障害者雇用を成功させるポイント

 

 

 

 

障害者雇用の実績がない場合、どのように取り組めば良いかわからない企業も多いのではないでしょうか。障害を持った人がいきいきと働ける職場環境をつくるためには、どんなことが必要なのでしょうか。

 

採用基準を見直す

 

障害者雇用枠を設けているにもかかわらず、障害者からの応募がない、もしくは少ない場合は、採用基準や募集条件を見直してみましょう。現在、多くの企業が障害者雇用に取り組んでおり、好条件の職種や人気職種にも障害者雇用枠を設けている企業も多くみられます。そのため、障害者雇用だからといって、著しく低い条件や軽易すぎる作業で募集をかけていては、応募が集まりにくいかもしれません。このようなミスマッチには、企業側における障害特性への理解不足が根底にある可能性があります。例えば、「知的障害者は任せられる業務が少ない」「精神障害者にはこの仕事は難しい」などという思い込みがある場合、対象の障害者を限定し過ぎてしまうかもしれません。

採用ターゲットを想定するうえで重要なのは、障害の特性にかかわらず「自社の業務を行えるかどうか」という点です。同じ障害であっても、症状の現れ方や困りごとはそれぞれ異なります。その人の個人的な得意・不得意の傾向を重視しましょう。まずは障害者雇用という色眼鏡を外し、どのような業務に人材が不足しているのか、どのような業務を任せたいのかを見定めて、採用基準を練り直すと良いでしょう。

 

障害ごとの環境整備を進める

 

障害者を雇入れた場合、企業には「合理的配慮」の提供義務が生じます。合理的配慮とは、障害を持つ人が就労中に感じる困難や困りごとを、企業が可能な限り取り除いていくことをいいます。合理的配慮によって実現しなければならない内容は、企業にとっては「過重な負担にならない程度」と定められていますが、障害者を雇入れるにあたってはよく検討しなければなりません。

 

それぞれの障害特性によって、提供しなければならない合理的配慮は異なります。そのため、一般的なバリアフリー化だけでなく、障害者本人からの要望もしっかりと汲み取らなければなりません。また、オフィスや設備などのハード面だけでなく、疲れやすい障害者のために休憩時間をこまめに取れるルール作りや休暇制度など、ソフト面での配慮にも気を配りましょう。このように、合理的配慮を正しく理解し、適切に提供していくことで障害者が働きやすい環境が構築することができます。

 

障害者雇用に関する研修を実施する

障害者雇用においては、職場定着が大きな課題となっています。厚生労働省のデータによると、障害者雇用枠で働く人の離職理由として大きな割合を占めているのは「職場の雰囲気・人間関係」です。このことからも、障害者が健常者のなかで働く難しさが読み取れます。また、「平成 30年度 障害者雇用実態調査結果」によると、障害を持つ従業員に対する配慮の内容として、「社内における障害者理解の啓発」と回答している企業は全体の2割にも満たず、多くの企業が障害に対する社内理解が重視されていない傾向にあります。障害者雇用を進めるにあたっては、軌道に乗るまでは障害者本人や現場の負担が大きくなるため、ネガティブな感情が起きやすいのも一因でしょう。

障害を持つ人材の職場定着を図るためには、物理的な環境整備だけにとどまらず、ともに働く人々との理解や情報共有を図ることが必要不可欠です。

 

 

まとめ

 

 

 

 

障害者雇用率が引き上げられたことにより、障害者雇用を検討している企業も多いのではないでしょうか。特に、従業員数の多い大企業においては、雇用しなければならない障害者人数が多いため、設備や制度をしっかりと構築する必要があります。一般に大企業は資本力があるため、こういった仕組み・体制づくりに本腰を入れやすく、効果を得やすいといえるでしょう。このような大企業による障害者雇用への取り組みには、大企業以外の企業においても学ぶ点は多く、これから障害者雇用を始めようとする企業には良いお手本となるはずです。大企業における障害者雇用の成功事例を参考に、自社の障害者雇用を成功させましょう。

 

H&Gでは障害者雇用に関するノウハウを蓄積しています。障害者雇用をご検討の方は、長期雇用実績のあるH&Gまでぜひお気軽にご相談ください。