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【コラム#03】障害者雇用を実践する企業の事例を紹介!具体例から成功のポイントを学ぼう

近年、さまざまな施策によって障害者雇用の機運が高まっています。度重なる「障害者雇用促進法」の改正によって、障害を持つ当事者の雇用を目指す動きがみられるようになりました。2019年度からは障害者に向けた国家公務員選考試験が行われるなど、障害者と健常者の間にあった溝は徐々に埋まりつつあると言えるでしょう。

とはいえ、実際に企業として障害者雇用をどのように工夫して進めていけば良いのか、悩まれている方もいるかもしれません。この記事では、障害者雇用を積極的に実践している企業について、具体的な事例と共にご紹介します。

 

※目次

1.障害者雇用の現状

2.障害者雇用率が高い企業

3.障害者雇用の取り組み事例

4.企業にとっての障害者雇用のメリット

5.まとめ

 

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障害者雇用の現状

 

 

まず、障害者雇用が現在どのような状況下にあるのかを見ていきましょう。

 

厚生労働省の障害者雇用状況のデータによると、民間企業で雇用される障害者の数は年々増加傾向にあります。2020年は57万人で前年より3.2%増加し、過去最高を記録しました。また、実雇用率においても2.15%と前年より0.04%上昇し、こちらも過去最高の数値となっています。そのなかでも精神障害者による雇用の伸びが大きく、精神障害への理解が社会進出に繋がっていることが伺えます。

 

「障害者雇用促進法」では、一定規模以上の企業に対して障害者の法定雇用率を定めており、2021年3月から2.3%に引き上げられたばかりです。この法定雇用率を達成している企業のパーセンテージは48.6%と、前年から0.6%上昇しました。しかし、2013年から法定雇用率の達成企業の割合は上昇を続けているものの、いまだに半数には届いていません。法定雇用率の引き上げがあったことで、これまでは条件を満たしていた企業も、雇用機会を考え直す必要が出てくるでしょう。

 

障害者雇用の採用に向けて努力することも重要ですが、雇用後にサポートを行い、しっかりと雇用を定着させることも求められます。厚生労働白書では、精神障害者の離職率が特に高く、雇用から1年後の就職率が50%を下回っているという結果が出ています。(2018年時点)このことからも、障害者が働くうえで不安や悩み、不満があるのか、企業側がしっかりと汲み取って、環境や業務内容の改善を目指すことが雇用の安定に繋がると言えます。

 

 

 

 

障害者雇用率が高い企業

 

 

障害者雇用率が高い企業は、政府から「優良事業主」として認定されるなど、社会的な認知度や評価を高めることに繋がります。多様な働き方が求められる現代では、積極的な障害者雇用の動きが雇用者にとって良いイメージを持たれることは間違いないでしょう。


ここでは、障害者雇用率が高いと発表された企業をピックアップしてご紹介します。(※東洋経済新報社「CSR企業白書」2020年度版による)

 

シーエックスカーゴ

 

生協物流を支えるシーエックスカーゴは、誰もが働きやすく能力を発揮できる会社を目指しており、雇用率は2019年度で5.85%を達成しました。ハローワークなどと連携を取りながら、職場実習やトライアル雇用の推進などを通して障害者雇用を進めています。また、障害者職業生活相談員やジョブコーチなどを配置し、障害者の受け入れ体制の基盤をしっかりと作っています。

 

 

エフピコ

 

食品トレーや弁当・惣菜容器を製造するエフピコは、知的障害のある子どもを持つ親の会「あひるの会」を誘致して特例子会社エフピコダックスを設立したことをきっかけに、障害者雇用の取り組みを始めました。2007年には、民間企業としては初となる就労継続支援A型事業所を設立し、現在では全国に20ヶ所以上の事業所を展開しています。さらに、取引先の障害者雇用のサポートとして、工場見学も実施しています。

 

 

エイベックス

 

音楽を中心としたエンターテイメント企業のエイベックスも、障害者雇用に積極的な企業のひとつです。障害者の勤務場所としてバリアフリー体制を整えたサテライトオフィスを設けるほか、アシスタントや事務職の障害者雇用を積極的に行っています。また、障害者のアスリートを雇用していることも特徴です。選手の活動内容をコラムに掲載するなど、障害者スポーツの認知拡大に貢献しています。さらに、障害者向けのカウンセラーを配置するなど、長期雇用に向けた工夫も行っています。

 

 

MRKホールディングス

 

「美の総合総社」を目指すボディメイク関連事業のMRKホールディングスは、事務およびアシスタント業務において障害者雇用を実施しています。大阪にある本社に加え、全国9ヶ所の事務所にて採用を行っています。持株会社体制になったことで、前年よりも障害者雇用率が上昇し7%を超えました。

 

 

キトー

 

工業搬送機器メーカーのキトーは、東京と山梨に本社を構える老舗企業です。本社のバリアフリー化を実現し、「障害者雇用マスタープラン」の策定や障害者の社員を含めた推進委員会の開催など、職場定着を推進しています。2017年には、障害者雇用職場改善好事例として厚生労働大臣賞を受賞しました。さらに、日本障害者スキー連盟とパートナー契約を結ぶなど、障害者アスリート支援にも力を注いでいます。

 

 

障害者雇用の取り組み事例

 

次に、障害者雇用を推進する企業の具体的な取り組み事例を見ていきましょう。

 

ユニクロ

 

「1店舗1名以上」
国内のユニクロ店舗では、「1店舗につき1名以上の障害者を雇用する」という目標を2001年より掲げています。2012年以降は全国のおよそ9割の店舗で障害者を雇用し、従業員者数1万人以上の企業のなかで障害者雇用率が9年間連続で日本一に輝いています。

 

障害者雇用研修
様々な障害を持つ障害者の能力を引き出すため、店長や社員に向けて、障害者雇用に関する研修を行っています。障害の有無にかかわらず、お互いを尊重することでパフォーマンスの向上を目指すことを目的としているそうです。

 

 

良品計画

 

ハートプロジェクト
2000年に障害者雇用を開始した良品計画では、2009年にハートプロジェクトが発足しました。障害者の能力を最大限に引き出せるように、一人ひとりの能力・特性に合った雇用管理や指導などのサポートを行っています。また、評価によるステップアップ制度も構築しています。

 

短時間勤務を認める
障害の特性に合わせ、勤務時間の相談を行います。体調の変化に気を配り、障害者本人に日誌をつけてもらうなど、現状の把握も欠かさず行っているようです。

 

 

リクルートホールディングス

 

特例子会社の設立
リクルートホールディングスでは、障害者雇用のなかでも就労の場が最も少ないとされている「内部障害者」を中心に、3つの特例子会社を運営しています。特定の障害者に向けた雇用にあえて絞ることで、これまで就労が困難であった障害者の雇用機会を創出することを目的としています。

 

「得意」を活かす
知的障害者を中心に雇用を図る「リクルートスタッフィングクラフツ」では、作業系の領域を得意とする特性を活かして、手漉き紙製品やオリジナルのコーヒー製造を行っています。製造工程は細分化してわかりやすく、かつ一定の品質を保てるよう業務フローを構築しているとのことです。

 

 

楽天ソシオビジネス

 

障害者の管理職雇用
キャリアアップが難しいといわれる障害者雇用ですが、楽天ソシオビジネスでは管理職ポストに就いている社員のうち約6割が障害を持っている社員です。障害を持つ当事者が管理職となることで、障害を持つ社員が働くことの難しさや悩んでいることを理解し、業務内容の工夫や改善に役立てることができると考えています。

 

ユニバーサルデザインやバリアフリーに配慮
本社ビルは、障害者用エレベーターや点字ブロック・多目的トイレなどの設備を充実させており、働きやすい環境に配慮しています。また、筆談用の電子メモパッドやメッセンジャー(チャット)でのコミュニケーションにも力を入れており、円滑に連絡がとれるよう工夫がなされています。

 

 

イオンリテール

 

正社員登用も可能
400店舗以上を展開するイオングループでは、クオリティキーパーや販売促進、商品管理や事務など様々な部署に障害者雇用の社員が配属されています。また、将来的に正社員での登用も可能としています。

 

就労移行や継続支援も
イオングループの特例子会社「アビリティーズジャスコ株式会社」では、就労移行支援事業・就労定着支援事業・リワーク支援事業を展開しています。就労までのサポートを行うだけでなく、就職が決まった後も支援者からアフターフォローを受けることができます。

 

 

企業にとっての障害者雇用のメリット

 

 

障害者雇用は、法律で定められている企業の義務です。しかしそれだけでなく、障害者雇用を積極的に行うことは企業にとってのメリットがあります。ここでは、具体的にどのようなことが期待できるのかを解説します。

 

CSRを果たせる

 

CSRは企業としての社会的責任という意味です。障害者雇用を積極的に行うことで、「社会的責任を果たしている」という信頼を得ることができます。障害者雇用においては、ただ法定雇用率を満たせば良いというわけではありません。障害者個人の素質や特性を理解し、いかに働きやすい・働きがいのある環境を提供できるかということがポイントです。社会的公平性・倫理性・人権への配慮といったCSRの考え方が徐々に広まるなかで、障害者雇用を推進することは企業価値の向上に繋がる大きなメリットとなるでしょう。

 

アメリカではDEI(障害者平等指数)による優良企業が毎年リスト化され、障害者雇用への取り組みを積極的に行う企業は高く評価される仕組みになっています。日本でも2020年の障害者雇用促進法の改正により、「もにす認定制度」が新たに作られました。これは企業の総従業員数が300名以下の企業において、障害者雇用に関する一定の条件を満たした場合は、認定マークを得ることができる、というものです。認定マークは商品や広告などに掲載でき、ブランドイメージの向上が期待できます。

 

多様性のある組織を作れる

 

ビジネスのグローバル化に伴って、企業にとって多様性、つまりダイバーシティが求められるようになりつつあります。企業経営におけるダイバーシティとは、人種・国籍・性別・年齢などを問わず、人材と働き方の多様化を目指す考え方を意味しています。

 

以前はダイバーシティというと、「社会的マイノリティの立場にある人々の人権尊重や法令遵守のため」という意味合いで使われることがほとんどでした。しかし、近年では「多様性を受け入れて、様々な立場の人々と尊重し合い、生産性を高め合うマネジメントを行う」という考え方にシフトしています。多様性とは、個人の特性やバックグランドなどの私的な部分に加え、働き方の工夫や業務内容の改善など働く条件の違いも含まれています。

 

多様性のある組織を運営していくためには、多様な価値観や能力を持つ社員を迎え入れることが何よりも重要です。価値観や能力の異なる人々を受け入れることによって、新たな商品やサービスのアイディアが生まれるなど、多角的な発想がもたらされることでしょう。

 

業務の見直しを図れる

 

障害者雇用を始める場合、障害の特性や本人の遂行能力などの違いにより、業務内容の見直しが必要です。この業務の見直し・切り出しを行うことは、これまで形骸化していた業務フローの最適化・効率化を促す絶好の機会になります。

 

たとえば、一人が抱えるには多すぎる事務作業を、毎日時間外労働に至るまで作業をしている社員がいたとします。そのなかから専門的な知識が必要ない業務だけを切り取って、障害者雇用の人材に振り分けます。そうすると、これまで膨大な作業量で大きな負担になっていた社員は業務フローを改善でき、さらに空いた時間を使って、ほかの作業に集中できる環境が整います。

 

なお、業務の見直しを行った後は、マニュアルを作成しておくことをおすすめします。業務の大まかな流れや作業時間、発生頻度、分量、納期などの項目を整理し、優先順位をつけておきましょう。実際に運用したあとで、作業量や時間が適正か、改善する場所があるかといった目安をつけやすくなります。

 

 

まとめ

 

 

冒頭で紹介したように、障害者雇用数は年々増加しているものの、中小企業を中心に法定雇用率を満たしている企業はそれほど多くないのが現状です。実際に、企業が障害者を雇用しようとすると、課題や問題点が浮かび上がることも少なくないでしょう。そんなときは、障害者雇用に積極的な企業の取り組みや考え方を参考にするのがおすすめです。そのうえで、自社にどのように還元できるのか、どのような方針で障害者雇用を進めたいのか、というポイントを明確にするところから始めてみましょう。障害者雇用について支援がほしい、何から始めたら良いかわからないという方は、長期雇用に強みのあるH&Gまでぜひお気軽にご相談ください。