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【コラム#20】障害者雇用にはメリットがたくさん!主な採用方法や成功させるポイントも解説

障害者雇用にはメリットがたくさん!主な採用方法や成功させるポイントも解説

近年、少子高齢化による労働人口の減少や、多様な働き方の推進を背景として、労働力としての障害者の活躍が期待されるようになってきました。これまでは、障害者は健常者と同等の働き方は難しいと考える人も少なくありませんでしたが、障害をカバーする職場環境を整え、周囲の理解や配慮を得ることができれば、豊かな才能を発揮できる障害者はたくさんいます。

この記事では、障害者雇用におけるメリットや導入におけるポイントなどを解説します。

 

※目次

  1. 障害者雇用のメリット
  2. 障害者雇用の主な方法
  3. 障害者雇用を成功させるポイント
  4. まとめ

 

 

障害者雇用のメリット

 

 

障害者雇用というと、障害者を雇入れるために職場環境の整備などをしなくてはならず、ハードルを感じる事業主は多いようです。しかし障害者雇用をすることで、企業にとっても良い影響があることをご存知でしょうか。ここでは、障害者雇用によるメリットを解説していきます。

 

法定雇用率を満たせる

 

障害者の雇用機会の確保や、職業生活の安定について定めた法律が「障害者雇用促進法」です。この法律の中では、民間企業や地方公共団体などの事業主に対し、雇用する労働者のうち、一定割合以上の障害者を雇用するよう義務付けた、「法定雇用率制度」が定められています。

法定雇用率は、労働人口や雇用情勢の変化に合わせて、数年ごとに見直しが行われることになっています。2018年、精神障害者が法定雇用率算定の対象になったことを理由に引き上げられて以降、法定雇用率は数回の引き上げを経て、2021年3月現在、民間企業で2.3%になりました。具体的には、常用労働者数が43.5人を超える企業の場合、1人以上の障害者を雇用しなければならないという計算になります。

もし、法定雇用率を達成できなかった場合、納付金の支払いや法定雇用率達成のための行政指導が行われます。そのような措置を通じても、なお法定雇用率達成のための努力がみられない場合は、社名が公表されることもあるため、企業は真剣に取り組む必要があるでしょう。

障害者を積極的に雇入れることで、企業は納付金の支払いを免れ、行政指導によるイメージダウンを防ぐことができます。

 

助成金を受給できる

 

障害者を雇入れるためには、障害の特性に合わせた職場環境の整備が必要です。整備内容や、導入する設備によっては、企業が大きな費用を負担することも考えられるでしょう。そのような場合の助けとなるのが、障害者雇用に関するさまざまな助成金制度です。

障害者作業施設設置等助成金や障害者福祉施設設置等助成金などは、作業施設や福利厚生施設の整備を行う事業主が利用することができる助成金です。ほかにも、特定求職者雇用開発助成金やトライアル雇用助成金など、雇入れに関して支給される助成金も用意されているため、企業は障害者雇用に関わる費用負担を軽減することが可能です。

一般に、従業員を採用する際には、決して少なくない費用をかけなければなりませんが、障害者雇用に関しては、助成金などをうまく活用することで低コストでの採用ができる可能性があります。

 

優秀な人材を確保できる

 

障害者は、日常のさまざまな場面で多くの不便や困難と向き合わなくてはならず、職業生活上でも一定の制限を受けなければなりません。しかし、そのような事情だけを理由に、障害者の就労能力が劣っているとみなすことは間違いです。障害の特性に起因する困難を取り除く、あるいは可能な限りカバーすることで、即戦力として活躍できる障害者も少なくありません。

たとえば、発達障害を持つ人の中には、通常では見過ごされるような細かい部分にも気付くことができたり、反復作業に高い集中力を維持できたりするなど、障害の特性が転じて、職業上の強みとして活かしている人もいます。このように、「障害者でもできる仕事を与える」という発想だけではなく、「障害の特性を生かした人材確保」が行えるのも、障害者雇用のメリットといえるでしょう。

 

企業イメージが向上する

 

近年、「企業の社会的責任(CSR)」という考え方が注目を集めています。CSRとは、企業が事業活動を行ううえで必要とされる考え方です。企業は、ただ利潤を追求するのではなく、従業員や消費者の生活向上への配慮を行い、社会貢献などを通じて、社会における重要なポジションとして適切な意思決定を行っていかなければならないとしています。

障害者雇用への取り組みは、障害者が活躍できる場を広げ、大きな可能性を与えるものとして、重要な社会貢献活動の1つです。また、積極的な障害者雇用を行うことで、「ダイバーシティ」「ノーマライゼーション」といった世界的に推進されている理念の実現にも繋がり、自社のイメージアップになるでしょう。

 

 

 

 

障害者雇用の主な採用方法

 

 

実際に障害者を雇用するにあたっては、どのような方法やプロセスで進めるのでしょうか。ここからは、採用方法や経路を解説します。

 

ハローワークや自社サイトなどで求人を出す

 

障害者雇用の場合も、一般的な採用活動と同様に、まずは求人を出すところから始まります。障害者雇用における求人の掲載先として、最も一般的なのはハローワークでしょう。ハローワークでは、求人の掲載ができるだけではなく、専門の職員による障害者雇用のためのアドバイスやサポートを受けることもできます。闇雲に募集をかけるより、現在の企業の状況や、これからの雇用計画、利用できる助成金について、しっかりとアドバイスを受けたうえで準備することが大切です。障害者雇用に関して、頼れる相談先としても、ハローワークを活用しましょう。

また、障害者雇用に関するノウハウが確立している企業の場合は、自社Webサイトでの募集や障害者向けの職業情報サイトに掲載するという方法もあります。

 

就労移行支援事業所や特別支援学校と提携する

 

障害者雇用を円滑に進めるために、公的な機関と連携していくことも検討しましょう。

障害者の雇入れを検討するなかで、頼りになる機関の1つに、就労移行支援事業所があります。

就労移行支援事業所とは、一般企業への就職を目指す障害者に対し、知識やスキルの習得を支援する機関です。就労移行支援事業所と連携することで、自社に合った人材や、業務内容と合致するスキルをもった障害者を採用しやすくなるでしょう。就労定着支援を行っている事業所の場合は、就労開始後の定期的なサポートを受けることができます。

また、特別支援学校との連携は、若くやる気のある障害者と出会うチャンスに繋がります。特別支援学校は、障害を持つ児童・生徒の自立を促すために必要な教育を受けさせる教育機関の1つです。近年、特別支援学校では、企業と連携して現場実習などができる機会をつくったり、企業関係者を招いたキャリア教育事業の実施をしたりするなど、生徒の卒業後の進路の1つとして就業を目指す取り組みが増えています。特別支援学校との連携を図りたい場合は、役所やハローワークへ問い合わせ、求人登録している生徒の情報を得ることから始めましょう。

 

障害者向けの転職エージェントを利用する

 

転職エージェントとは、転職を希望している人と、採用を考えている企業との間に立って、転職をサポートする業者のことを指します。転職エージェントのなかには、障害者雇用に特化した仲介を行っている業者も多く、障害者の採用にノウハウの無い企業にとって強い味方になるでしょう。転職エージェントは、企業側が要求する条件だけでなく、転職者側の希望条件も把握しているため、就職後のミスマッチが発生しにくいといったメリットがあります。

 

就職イベントに参加する

 

ハローワークが主催する、障害者合同面接会や転職フェア、合同企業説明会などに参加するという方法も有効です。特に、障害者雇用に特化した内容のイベントであれば、自社の魅力を一度に多くの求職者にアピールすることが可能です。また、直接求職者との対話ができる機会にもなるため、どのような人が自社に興味をもってくれているのか、知るきっかけにもなります。このような就職イベントは、最近では都心部だけでなく、全国的に開催されているものも多いため、地方における人材確保にも役立つでしょう。

 

 

障害者雇用を成功させるポイント

 

 

最後に、障害者雇用を円滑に進めるためのポイントを紹介します。

 

障害者雇用の社内理解を深める

 

障害者雇用への取り組みに関して、最終的な決定をするのは経営陣や管理職でしょう。しかし、障害者雇用の方針や考え方が、彼らの中だけで共有されていては、あまり意味がありません。障害者雇用の意義や、必要性を全社レベルで共有するとともに、障害者が配属される部署においては、その障害者の障害の内容や必要な配慮についても詳しく学べる機会を設けましょう。現場の従業員の理解やサポートは、障害者の職場定着のためだけでなく、さまざまなトラブルを未然に防ぐことにも繋がります。

 

現場のサポート体制を整える

 

入念なマッチングの結果、採用を決めた従業員でも、実際に働いてみるとさまざまな面でうまくいかないことがあった、という就職の例は数多く聞かれます。障害者雇用の場合は、なかなか職場環境に慣れることができずコミュニケーションがうまくとれなかったり、指示や指導が上手く伝えられなかったり、といった問題が発生することも少なくありません。こういった問題は、伝え方や工夫によって改善する可能性もあるため、どのような方法にすれば業務を進めやすいか障害者本人と話し合ったり、周囲の従業員の意見を聞いたりして、こまめに軌道修正の機会をつくることをおすすめします。

また、障害者本人のサポートだけでなく、現場の担当者のサポートも大切です。特に、社内で働く障害者が少ない場合は、障害者に対してどのような配慮や対応を行うべきかわからず、困ってしまう担当者も少なくありません。担当者に過度な負担がかかっていないかどうか配慮し、不明点はいつでも相談できる体制を構築しましょう。

 

必要な配慮を明確にする

 

障害者を雇用するにあたって、企業が取り組まなければならない項目の1つに、「合理的配慮の提供」があります。合理的配慮とは、障害者が健常者と平等に生活できるように、一人一人の特徴や場面に応じて発生する障害・困難を取り除くための、個別の調整や変更のことです。どのような配慮が必要なのかは、雇入れる障害者それぞれが持つ障害や特性によって異なるため、講じるべき施策はさまざまです。そのため、障害者本人と企業、所属する部署で、具体的な項目についてよく話し合う必要があるでしょう。

企業が合理的配慮を提供するうえでは、基本的に本人が必要としていることをできる限りカバーしていくことが大切です。採用面接時などに、障害者本人の希望をヒアリングする時間を充分に設けるとともに、就労を始めた後に申し出があった場合にも、柔軟に対応することが望ましいでしょう。

実際の障害者雇用の現場では、以下のような合理的配慮が取り入れられています。

 

・通勤時に配慮が必要な障害者が、ラッシュの時間帯を避けられるように、フレックスタイム制や時差出勤を認める

・急な体調不良や通院に対応できるように、他の従業員がサポートできる体制づくりをしている

・聴覚・言語障害者に対して、筆談でのコミュニケーションを取る

・わかりやすく業務指示ができるように、写真や図を示したマニュアルを作成する

 

支援機関を活用する

 

障害者を雇用していくうえで、大きな課題となっているのが職場定着の実現です。せっかく採用しても、実際の業務内容とのミスマッチや、職場に馴染めない、体調が悪化してしまった、などの理由から、就労が継続困難になる障害者は多いようです。「採用できたらそれで終わり」ではなく、日常の業務のなかでしっかりとサポートしていくことが大切です。

そのためには、合理的配慮の提供や現場のサポート体制の構築だけでなく、支援機関の活用を検討すると良いでしょう。

たとえば、「障害者就業・生活支援センター」は、その名の通り、障害者の就業支援だけでなく、日常生活を健康的に送るためのサポートを行っています。また、障害者本人へのサポートはもちろん、企業側への助言や情報提供なども行っているため、障害者の職場定着の心強い味方になるでしょう。さらに、必要に応じて他の支援機関への橋渡しも行うなど、障害者の職業生活に関して幅広い内容を相談することが可能です。他にも、「ハローワーク」「就労移行支援事業所」「就労定着支援事業所」「障害者就労支援センター」「地域障害者職業センター」など、さまざまな支援機関があるため、活用していくと良いでしょう。

 

 

まとめ

 

 

障害者雇用が義務化されて以降、ダイバーシティ精神の拡大と共に、障害者雇用は浸透しつつあります。当初、障害者雇用はメリットが少ないうえに、企業側に課せられた重い義務の1つと考える人も少なくありませんでした。しかし、現在においては、さまざまな企業で障害者雇用が実現し、多くの成功事例がみられるようになってきました。こうした成功事例をもとに、障害者雇用の取り組みは多くの企業や公共団体で、広く推進されていくでしょう。企業は、障害者雇用をただの義務としてではなく、1つの社会的使命として認識し、事業のなかでしっかりと取り組んでいくことが大切です。

H&Gでは、障害者雇用に取り組んできた経験と実績があります。障害者雇用を検討している企業や、障害者雇用に関してのお悩みは、H&Gまでご相談ください。