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【コラム#42】障害者雇用で業務切り出しはどうしている?事例から成功のポイントを学ぼう

障害者雇用で担当者が悩む課題の1つとして「業務の切り出し」があげられるのではないでしょうか?

一般雇用枠の場合は、業務や配属部門があることを前提に、知識・経験等の能力がある人材を探す、というのが一般的だと思います。
障害者雇用枠で採用を進める際に担当者から良く聞かれるのは、

「実際にどういった業務を任せられるのかが分からない」

「担当してもらう業務がない」といった悩みの声です。

そこで今回は、「障害者雇用で業務を切り出す際のポイント」についてご紹介したいと思います。

※目次

1、障害者雇用は業務から考えよう
2、障害者が担当する業務とは
3、業務切り出しの手順
4、事例(建材メーカーの場合)
5、それでも業務切り出しに悩んだら
6、まとめ ウェブアクセシビリティ診断という選択肢

 

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障害者雇用は業務から考えよう



冒頭でもお話したように、一般求人枠では、まず最初に配属部門と業務を決めて、人材採用を進めていくと思います。
ですので、障害者雇用でも同じように、「業務から逆算して人材を探す」ということが大切です。
しかし、実際には法定雇用率達成のために人数確保が優先されることが多く見られるのではないでしょうか。

そのため現場では、

「障害特性と業務内容がマッチングしていない」

「業務を提供できず、何をしてもらうのが良いか分からない」といった課題が発生しがちではないでしょうか?


それが積み重なると結果的に、休職や早期離職に繋がってしまうことも少なくありません。

もしそうなってしまう場合は、企業にとっても障害者の方にとっても残念な結果になってしまいますよね。
そういったことから、障害者雇用においても一般雇用と同じく、まずは、「業務優先」で考える事が望ましいと言えます。

障害者が担当する業務とは?


障害者が担当していく業務は、障害特性や、能力・経験によっても異なります。
これから雇用を本格的に進めたい企業や、もう一度業務切り出しを検討して数多くの人材を採用したいという企業は、
まずは比較的取り組みやすい業務から考えてみましょう。


具体的には、次の6つに該当する業務から検討してみて下さい。

 

<障害者雇用で業務を切り出す場合に考えたい6つのこと>

 

1、高度な判断が必要がない業務

2、納期が比較的緩やかな業務

3、一時的ではなく、一定量が発生する業務

4、専門知識の必要がない業務

5、他部署やクライアントなどとの交渉や調整が少ない業務

6、マニュアル化できて一度覚えてしまえば、同じことを反復して進められる業務


 業務切り出しの手順


中小企業ですと一人の担当者が様々な業務に携わることも多いため、会社の規模でもちがうとは思いますが、
障害者雇用を先導していく部署はコーポレート部門または、人事総務部など管理部門が多いのではないでしょうか?

そういった事からもまずは配属部署の選定からスタートして、
最初は、コーポレート部門や人事総務部の直下に配属する方がマネジメントがしやすいでしょう。

その後は、部門内の業務内容や量やタイミングなどを把握するために、
部門の責任者に対してヒアリングを行います。


この時、
「障害者には難しいだろう」

「本社でなければ難しいだろう」

「◯◯のリスクがある」

という既成概念や成約にとらわれずに、幅広く業務を洗い出すことがポイントになります。
あくまでも、可能性を検討するためのもの、という認識を持つことが重要です。

 

1、配属部署を選定する


まずは、こちらを意識しながら配属部署を検討しましょう。

 

・雇用形態(アルバイト・パート・派遣など)関わらず人材を多く配置している部署

・外部業者に業務委託している業務がある部署


関わっている人が多ければ多い程、業務の為に人手がかかっているということですので、
業務量が多く人材配置の検討がしやすい傾向にあります。
また外部業者に業務を委託をしている場合は、
その業務が社内で対応できないかどうか内製化を検討してみましょう。


障害者雇用の担当者がご自身が、社歴もあり社内ネットワークを持っている方なら良いですが、
そうでない場合は社内の各部署への相談、社内営業をいちから始めないといけませんよね。
そういった場合は、キーマンとなる方と相談しながら進めて行くことが肝心です。

2、業務を検討


例をあげると、入力業務、集計業務、切り分け、診断などの作業になります。

具体的には次のような業務が該当します。

 

・郵便受付対応(郵便宅配受付・各部への振り分け・後納郵便発送)

・電話、FAX振り分け

・事務業務(契約書申請業務・名刺発注など)

・オフィス環境整備(オフィス整備・清掃)

・備品管理(会議室管理・備品購入)

・来社受付(業者等)

・資料送付(お問い合わせ対応)

・顧客情報管理

・資料作成・見積作成・データ化

 

3、業務をマニュアル化する


作業の手順が分かるように、文字だけでなく図や色を使い、それを見れば一通り作業ができるようにマニュアルを作成していきます。
障害特性によっては、曖昧な表現(言い回しの表現や構成など)では理解できないことがありますので注意が必要です。

「手間がかかるなぁ・・・」と思われるかもしれませんが、

業務を棚卸しをすることで今まで気づかなかったことが分かり、
業務効率化に繋がるかもしれません。業務を誰もができるように、最適化することはとても重要なことですよね。

4、ハローワークへ相談


配属する部門や業務がある程度かたまり、マニュアルのたたき台ができあがったら、
管轄ハローワークに相談をしてみましょう。
実際に求人票を作り、募集をかけていく時は障害者トライアル雇用や、実習の活用を検討しても良いかもしれません。


障害者トライアル雇用を活用する場合は、書類選考や実習はできませんので注意が必要です。

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業務切り出しの事例(建材メーカーの場合)


ここからは、実際に弊社が業務切り出しの支援をした事例をご紹介します。

ある建材メーカーでは精神障害者の雇用ノウハウがないとのことでご相談を頂きました。

まずは
「拠点地域をどうするか?」

「配属部門はどうするか?」

「業務内容は?」

など、ヒアリングして業務切り出しと人材採用をサポートしました。

 

  • 業務切り出しのステップ


・人事担当者と配置部門の相談

・部門の業務内容の確認と想定される業務の提案

・部門長含む現場職員への障害者雇用についての説明会(障害特性や法律など)

 

障害者と一緒に働いたことのない方もいらっしゃいますので、
説明会を通して、一緒に働くイメージを持ってもらうことがポイントですね。

 

それでも業務切り出しに悩んだら・・・



今後も、法定雇用率パーセンテージは上がっていきます。

様々な部門で配置の検討をしても、増え続ける従業員数と法定雇用率とのバランスに悩まれる方もいらっしゃると思います。
昨今、様々な障害者雇用代行ビジネスが普及しており、自社業務からは離れた領域の業務を担っているようです。
働ける障害者の方が増えたり、喜ぶご家族が増えることは大変喜ばしいことです。
ですが、忘れてはいけない大切なことは

「自社の業務にどのように貢献ができるかどうか?」ではないでしょうか。

自社の事業に障害者雇用枠で採用した皆さんの成果物が還元できて、
さらにしっかりとやりがいを感じられるような業務設計
ができれば一番素晴らしいことだと思います。

 

まとめ ウェブアクセシビリティ診断という選択肢



H&Gでは2022年より新しいサービスとして、
自社のウェブアクセシビリティを障害者の方が診断する

「ウェブアクセシビリティ診断サービス」をご提案しています。

次回は、ウェブアクセシビリティ診断について情報をご提供できればと思います。

 

この記事を書いたのは・・・

 

株式会社H&G/精神保健福祉士 叶内 公基

株式会社H&Gにて障害者雇用支援サービス「障害者サテライトオフィス雇用プラン」のスキーム開発から広報・導入支援等を担当。
人材紹介事業や障害福祉サービス事業の事業所開設や事業所運営、人材マネジメントの経験を活かして、障害者雇用に悩まれている企業の課題解決に取り組んでいる。またグループ会社のH&Hグループでは、グループ内の障害者雇用の促進を担当。障害者雇用の対応に悩まれている人事担当者に寄り添うことを大切にしている。

2022年より障害当事者が行う「ウェブアクセシビリティ診断」のサービスを中心に障害者雇用についての情報発信を続けている。