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【コラム#15】障害者トライアル雇用とは?メリット・デメリットや導入の流れについて解説

少子高齢化やダイバーシティの理念が浸透しつつあるなかで、近年では障害者雇用に積極的に取り組む民間企業が増えています。しかし、障害者を雇用するためには、職場環境をどのように改善するべきかや、現場でどのような対策が必要かなど、雇ってみて初めて認識できる事柄が多いものです。

このような状況に対応すべく、厚生労働省では「障害者トライアル雇用制度」を推進しています。この記事では、障害者トライアル雇用制度の概要やメリット・デメリット、制度を導入する流れなどについて、詳しく解説していきます。

 

※目次

  1. 障害者トライアル雇用とは
  2. 障害者トライアル雇用のメリット・デメリット
  3. 企業がトライアル雇用を導入する流れ
  4. 障害者の継続雇用に対する助成金
  5. まとめ

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障害者トライアル雇用とは

 

 

はじめに、障害者トライアル雇用制度の概要について理解しましょう。

 

障害者トライアル雇用の概要

 

障害者トライアル雇用制度とは、初めて障害者を雇用する、もしくは一般就職が困難である障害者を雇い入れる企業が、本採用の前に一定の試用期間を設けることができる制度です。
これによって企業は求職者の適性や業務遂行能力を見極め、採用するかどうかを決めることができます。また、この制度の利用にあたっては、助成金を受けることも可能です。


トライアル雇用制度には一般雇用向けのものもあり、両者を区別するため、

障害者雇用でのトライアル雇用を「障害者トライアルコース」、
一般雇用の場合を「一般トライアルコース」

と呼び分けています。

 

障害者トライアルコースとは

 

障害者トライアルコースの雇用期間は、原則3ヶ月(精神障害者は原則6ヶ月)です。
しかし、重度障害者を除く身体・知的障害者の場合は1~2ヶ月程度の短縮、精神障害者の場合は12ヶ月まで延長することが認められています。


障害者トライアルコースでは、1週間の所定労働時間が20時間以上であることを目安としているほか、
以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。

 

  • ・紹介日において、就労経験のない職業に就くことを希望している者
  • ・紹介日以前の2年間のうち、転職や離職を2回以上経験している者
  • ・初回日以前に離職している期間が6ヶ月を超えている者
  • ・重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者

 

事業主が受け取れる助成金は、6ヶ月間障害者トライアル雇用を利用した精神障害者の場合、
1人につき月額最大8万円を3ヶ月間、月額最大4万円を残りの3ヶ月間に受給することが可能です。
それ以外の条件の場合、最大4万円が最長3ヶ月間支給されます。

 

障害者短時間トライアルコースとは

 

障害を持つ求職者の中には、長時間の就労に不安があるという人もいます。そのため、障害者トライアルコースの条件である、
「週所定労働時間が20時間以上」という勤務条件が難しい求職者には、短時間でのトライアル雇用制度も用意されています。
この「障害者短時間トライアルコース」では、週所定時間が10時間以上20時間未満という条件でトライアル雇用を利用することが可能です。

対象となるのは精神障害者、もしくは発達障害者で、雇用期間は3ヶ月以上12ヶ月未満となっています。
受給額は、支給対象者1人につき月額最大4万円(最長12ヶ月間)です。

 

 

障害者トライアル雇用のメリット・デメリット

 

 

障害者トライアル雇用制度を利用した場合の、企業側・求職者(障害者)側双方のメリット・デメリットを見てみましょう。

 

企業側のメリット

 

雇用者側のメリットには、雇用時のミスマッチを防ぐことができるという点があります。
実際に障害者が働く様子を確認することができるため、履歴書や面接だけでは見極めきれなかった適性・能力を、事前に把握することが可能です。また、障害者雇用のノウハウを確立していない企業などは、障害者が働くにあたってどのような職場環境の改善が必要か、現場でどのような認識を持つべきかなど、障害者雇用をするうえでの必要事項をあらかじめ整理することができます。

また、前述のとおり、障害者トライアル雇用制度を利用することで助成金を受給することができるため、採用時のコストを削減できるというのも大きなポイントです。

 

企業側のデメリット

 

障害者トライアル雇用は、障害者のなかでも働くことにブランクのある人や、就業経験が不足している人を対象としています。

そのため、まずは「毎日職場に通う」「基本的なビジネスマナーを学ぶ」などといった初歩的なことから学ぶ必要がある場合も少なくないので、一般採用に比べて人材育成に時間がかかる可能性があるでしょう。さらに、障害の種類や程度によっては、即戦力としての働きを期待するのではなく、軽めの作業から徐々に学んでもらうという認識が必要です。


また、障害者トライアル雇用を導入するためには、まずハローワークに「障害者トライアル雇用求人」を提出し、応募があれば面接選考を行います。
書類選考ではなく、必ず会う必要があります。

そのため、一般選考に比べると雇用を開始するまでに時間がかかる場合が多いようです。さらに、助成金の申請をする場合も事前に手続きが必要になります。

 

障害者側のメリット

 

障害者トライアル雇用を利用することで、障害者側にとってもミスマッチを防ぐメリットがあります。
前述のとおり、障害者トライアル雇用を利用する障害者は、働くこと自体が久しぶりだったり、あまり仕事に慣れていなかったりする場合が多いので、自分自身でもどんな仕事をどこまでできるかわからない人も少なくありません。その点、本採用の前に実際に業務を体験でき職場の様子や仕事内容を知ることができれば、
本採用後に

「こんなはずじゃなかった」
「思っていた仕事と違う」と感じる可能性を軽減することができるでしょう。

特に未経験の職種にチャレンジするときは、障害者トライアル雇用の試行期間で実際に働くことができることは、大きなメリットといえるでしょう。


また、障害者トライアル雇用では、選考が書類選考ではなく面接形式で行われるため、やる気や人柄が採用に繋がりやすいという側面があります。
実務経験が浅い場合でも、熱意や長所をアピールできれば採用に繋げられるかもしれません。

 

障害者側のデメリット

 

一方で、障害者トライアル雇用の期間を無事終えたからといって、確実に本採用される訳ではありません。

障害者トライアル雇用を利用した障害者が、常用雇用者として迎え入れられるかどうかは、その企業の判断に全て委ねられています。

さらに、障害者トライアル雇用では同時に複数の企業に応募することができないため、トライアル雇用期間の終了後に不採用となってしまった場合は、その時点からまた別の求人を探さなければなりません。

 

 

 

 

 

企業が障害者トライアル雇用を導入する流れ

 

 

ここからは、障害者トライアル雇用をどのように導入するのかをまとめました。申し込みから助成金の受給までの流れを確認しましょう。

 

ハローワークで申し込む

 

まずはハローワークにて求人票を作成し、「障害者トライアル雇用」の申込みをしましょう。このとき、トライアル雇用だけでなく一般採用の応募も同時に検討している場合は、「トライアル雇用併用求人」として申し込みをします。また「トライアル雇用求人」として助成金の給付を希望している旨を必ず伝えましょう。

 

応募者と面接する

 

求職者からの応募があった場合は、ハローワークから紹介されます。求職者との面接選考の機会を設け、障害者トライアル雇用に採用するかの判断を行いましょう。なお、メリット・デメリットの項目でも触れましたが、障害者トライアル雇用の採用は面接選考で決定することが条件であるため、書類選考を行うことはできません。

 

雇用条件を決める

 

面接を経て採用することが決まったら、賃金・労働時間などの雇用条件や、雇用保険・健康保険・厚生年金などの加入について確認します。賃金額の設定方法は企業によって異なりますが、障害者雇用だからといって最低賃金を下回ることのないようしましょう。また、所定時間外労働や休日出勤があった場合は、時間外・休日割増手当の支給が必要になりますので、法定以上の手当を支払う可能性があることも心得ておきましょう。

 

有期雇用契約を結ぶ

 

雇用条件が決定したら、有期雇用契約書を作成し、求職者と雇用契約を結びます。労働条件について認識の齟齬が発生しないように、雇用契約書の内容はしっかりと説明し、納得してもらったうえでサインをしてもらいます。なお、所定時間外労働や休日出勤などが発生する可能性があるときは、その旨を雇用契約書にはっきりと記載しておく必要があります。

 

トライアル雇用を開始する

 

有期雇用契約を結んだら、いよいよ障害者トライアル雇用の開始です。担当業務の進捗や、本人のやる気・適性などを見ながら、本採用をするかどうかを判断していきます。なお、晴れて本採用となった場合、有給の起算日は本採用で雇用された当日ではなく、トライアル雇用を始めた日からになるので注意しましょう。

 

トライアル雇用実施計画書を提出する

 

事業主は、障害者トライアル雇用が開始された日から2週間以内に、ハローワーク宛に「トライアル雇用実施計画書」を提出しなければなりません。計画書には事業所名・対象者(雇用者)名・業務実施内容などを記載します。計画書の様式は厚生労働省のWebサイトからダウンロードすることができますが、一般トライアルコースと障害者トライアルコースでは様式が異なるため、間違えないようにしましょう。

また、トライアル雇用実施計画書の提出の際に雇用契約書の提出も求められますので、今一度記載に不備がないか目を通しておくと安心です。

 

助成金が支給される

 

助成金は障害者トライアル雇用期間が終了した後に、一括で支給されます。事業主は、障害者トライアル雇用期間が終了したとき、もしくは常時雇用契約を締結したときから2ヶ月以内にハローワークもしくは都道府県労働局宛てに「結果報告書兼支給申請書」を提出します。この書類には、トライアル雇用後に判断した内容、すなわち、常時雇用するのか、それとも不採用なのかといった内容を記載しましょう。この期限を過ぎてしまうと助成金が支給されないため、定められた期間内に提出することが肝要です。

必要書類を提出後、助成金の支給条件が満たされているかどうかの審査を受け、無事審査を通過した場合に期間分の助成金が支給されるという流れです。

 

 

 

 

 

障害者の継続雇用に対する助成金

 

 

障害者トライアル雇用を経て常時雇用労働者となってからも障害者が困難なく働けるように、企業は配慮や工夫をする必要があります。そこでここでは障害者を雇用するうえで役立つ助成金を3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

特定求職者雇用開発助成金

 

厚生労働省が取り扱う雇用関係助成金のうちのひとつで、高年齢者や障害者など、支給条件を満たした労働者を雇用した際に支給されるものです。多様な求職者を継続雇用する企業を支援し、国内全体の雇用を安定させることを目的としています。

特定求職者雇用開発助成金は「コース」と呼ばれるいくつかの種類に分かれており、以下がその一覧です。

 

  • 特定就職困難者コース
  • 生涯現役コース
  • 被災者雇用開発コース
  • 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
  • 三年以内既卒者採用定着コース
  • 障害者初回雇用コース
  • 安定雇用実現コース
  • 生活保護受給者等再開発コース

 

支給条件や助成金の支給額はそれぞれのコースによって異なりますが、共通点は、半年~1年以上など一定期間の継続雇用が評価された場合に助成金が支給されることです。

 

障害者初回雇用奨励金

 

「ファースト・ステップ奨励金」とも呼ばれ、企業が初めて障害者を雇用した際に支給される助成金です。障害者雇用の義務となる、常用労働者が50~300人までの中小企業が対象となっています。障害者雇用率が達成できていない中小企業における、障害者雇用の促進を目指すことを目的に制定されました。

主な支給条件は、「過去3年間に障害者の雇用経験がない一定規模の事業主であって、ハローワーク、地方運輸局または民間の職業紹介事業者などの紹介により、初めて障害者を雇い入れ、1人目の対象障害者を雇い入れた日の翌日から起算して3ヶ月後の日までの間に、雇い入れた対象障害者の数が障害者雇用率を超えていること」とされています。

助成額は一事業主に対して120万円で、支給対象者の雇い入れ日から6ヶ月後までが支給対象期間です。その末日の翌日から起算して2ヶ月以内に、労働局またはハローワークに申請する必要があります。

 

障害者雇用安定助成金 

 

雇用する障害者の職場定着を図るため、それぞれの障害特性に応じた雇用管理・雇用環境の見直しや、柔軟に働くことのできる工夫、また職場定着に困難を抱える障害者への支援に対して支給される助成金です。「障害者職場定着支援コース」と「障害者職場適応援助コース」の2種類に分けられています。

「障害者職場定着支援コース」は、職場定着支援計画の認定を受けたうえで、雇用する障害者に対して特定の措置を実施し6ヶ月以上職場に定着させることを目指します。特定の措置は以下の7つが定められており、支給額は1人につき最大120万円です。

 

  • 柔軟な時間管理・休暇取得
  • 短時間労働者の勤務時間延長
  • 正規・無期転換
  • 職場支援員の配置
  • 職場復帰支援
  • 中高年障害者の雇用継続支援
  • 社内理解の促進

 

「障害者職場適応援助コース」は、職場適応・定着に対して特に課題を抱える障害者に対して、支援計画に基づき特定の支援を提供するというものです。支援内容は以下の8つが対象となり、支給額は1人につき月額最大12万円です。

 

  • 支援計画書の策定
  • 支援総合記録票の策定
  • 支援対象労働者に対する支援
  • 支援対象事業主に対する支援
  • 家族に対する支援
  • 精神障害者の状況確認
  • 地域センターが開催するケース会議への出席
  • その他の支援(地域センターが職業リハビリテーション計画に基づき必要と認めたもの)

 

 

まとめ

 

 

社会的に人材不足が課題となっているなか、障害者が重要な戦力として活躍するケースが増えています。そのため、今後はより一層障害者雇用に取り組む企業は増えるでしょう。

しかし、障害者雇用を行ううえでは、障害の種類や程度によってどのような職場環境の整備が必要か、どの程度の業務ができるのかなど、採用前に把握しなければならないことが多くあります。障害者雇用では、求職者と企業双方のミスマッチがないかどうか慎重に判断しなくてはなりません。

このような課題をクリアするために、障害者トライアル雇用は非常に有効な手法といえるのではないでしょうか。助成金などを積極的に活用し、障害者が無理なく健全に力を発揮できる企業を目指したいものです。

 

障害者雇用や助成金の申請を検討している方は、長期雇用実績のあるH&Gまでお気軽にご相談ください。