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【コラム#26】障害者雇用で未経験者がプログラマーになる方法とは?主な仕事内容も解説

インターネットが1990年代に商用化されて以降、世界各国の経済社会に、次々と変革が起こりました。

いわゆるIT革命です。

現在に至るまで、IT技術の発達はめざましく、
スマートフォンやタブレットなどの電子デバイスが日常的に使われ、日々新しいIT関連のサービスが生まれています。
一方で、現在の日本では、IT人材の不足に頭を悩ませる企業が増えており、IT人材獲得は大きな企業課題となっています。

そこで注目されているのが、プログラマーをはじめとしたIT人材における障害者雇用です。

この記事では、未経験から障害者雇用を通じてプログラマーを目指す方法や、障害者雇用におけるIT業界の現状と今後の展望などを解説します。

 

※目次

  1. 障害者雇用におけるIT業界の現状
  2. 未経験でプログラマーを目指すために必要な準備
  3. プログラマーの主な仕事内容
  4. まとめ

 

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障害者雇用におけるIT業界の現状

 

 

日本では、「障害者雇用促進法」が整備され、障害者に平等な就労機会を提供するための施策が推進されています。
日本全体の障害者における雇用者実数は年々増加しているものの、いまだ改善されない業種もあり、企業規模などによっても格差が広がっている現状があります。

 

IT業界における障害者雇用の課題

 

IT・情報通信業界における障害者雇用率は他の業種と比較して、最も低い水準にあります。

厚生労働省のデータによると、産業別実雇用率の全体平均2.15%に対し、情報通信業は1.77%と、その差はけして小さなものではありません。

また、企業規模に応じて一定数以上の障害者を雇用しなければならないと定める「障害者雇用率」においても、
IT・情報通信業は他業種に比べ低い水準にとどまっています。

民間企業全体における障害者雇用率達成企業の割合は48.6%と、半数に近い数値であるのに対し、
IT・情報通信業は27.6%とこちらも平均を大きく下回っています。

このような数値からみて、IT・情報通信業は障害者雇用を積極的に推進している業界とはいえないでしょう。

出典:令和2年 障害者雇用状況の集計結果

障害者雇用の進まない要因

 

IT・情報通信業界における障害者雇用は、なぜ進まないのでしょうか。

この背景には、労働環境やビジネスモデルなどが大きく影響していると考えられています。

日本のIT業界では、多くの企業において、エンジニアやプログラマーが「客先に常駐して働く」ビジネスモデルを導入しています。
客先常駐の場合、案件ごとにチームメンバーの入れ替えや、勤務地の変更が発生するため、
環境の変化にストレスを感じやすい特性を持った障害者には、不向きといわれています。

また、障害者雇用の場合、労働環境への配慮や日々のサポートなどが必要不可欠ですが、客先常駐ではそれも難しくなるでしょう。
そのため、雇用管理や障害を原因とするトラブルに対応できないという観点から、
業界全体で障害者雇用における求人枠を拡大できないという事情があるのです。

専門的知識を要する業務が多いことから、
IT・情報通信業界が求めるスキルレベルの障害者を探すことがそもそも難しいという点も、障害者雇用が進まない理由の一つです。

 

IT業界の障害者雇用の拡大にむけて

 

このような背景のなか、IT・情報通信業界は、障害者雇用に向けた課題に対し、どのように取り組むべきなのでしょうか。


まずは、障害者であっても取り組める職種を作ることです。

職種を作るといっても、まったく新しい業務内容を準備するのではありません。
客先常駐しなくて良い保守・運用などの業務の一部を自社オフィスで行ったり、
プログラミングなどまとまった作業を持ち帰って行うなど、工夫して障害者を活用できる仕組み作りを行うのです。タスクを細分化するなど、開発方法に工夫をすることで、障害があっても取り組める業務を生み出すのも難しいことではないでしょう。


また、障害者といっても、その特性や程度はさまざまです。精神障害者のなかには、一部の業務に配慮が必要ではあっても、業務スキル的には健常者に遜色無い水準の人もいますし、発達障害者には、興味をもったことには高い集中力を発揮できる人や、正確性の高い業務をこなせる人も少なくありません。
身体障害者に至っては、職場環境のバリアフリー化や、設備を工夫さえすれば、さまざまな業務で能力を発揮できるでしょう。

自社で障害者人材の活躍が実証されれば、常駐先への理解を得て、徐々に客先常駐にも挑戦していけるかもしれません。

未経験でプログラマーを目指すために必要な準備

 

 

IT・情報通信業界は、障害者雇用への課題はあるものの、実雇用率・雇用率達成企業ともに少しずつ増加しており、
今後障害者の活躍する業界として、伸びしろがあるといえます。

ここからは、これからプログラマーなどIT系職種を目指すために必要な要素を解説します。

 

プログラマーの仕事を理解する

 

ひとくちにIT系職種といっても、実にさまざまな職種があります。「技術者」という意味をもつエンジニア一つとっても、ITエンジニアやデータベースエンジニア、AIエンジニア、アプリケーションエンジニア、テストエンジニアなど、開発する内容や目的によって、業務内容は大きく変わります。

一方で、プログラマーとは、「プログラミング言語」を用いてネットワーク上で利用するソフトウェアやシステムを開発する仕事です。SE(システムエンジニア)と混同されることがありますが、SEは主にシステムの設計や予算、人員、スケジュール管理の指揮をすることが一般的です。

SEが設計した仕様書に基づいてプログラムを書き上げていくのが、プログラマーの仕事と覚えておきましょう。

このように、プログラマーは、「指示の通りに作業する」要素が強い業務といえるため、
プログラミング言語さえ使えれば、障害者が挑戦できる案件も多いと考えられています。
実際に、プログラマーを目指す障害者は徐々に増えてきているようです。

 

プログラミングの勉強をする

 

プログラマーになるうえで必須となる資格はありませんが、面接などでアピールするためには、
ある程度のプログラム言語の使用経験があると良いでしょう。

プログラマーの募集では、「未経験者でも可」という文言もよく見られますが、
少なくともプログラマーという仕事の役割や基本的なパソコン操作を理解していることが求められます。PHPやJavaScriptなど、基本的な言語をいくつか知っているだけでなく、
これらを用いてプログラムを書き上げた経験があると採用される可能性は上がるでしょう。

とはいっても、プログラミング言語を自主学習するのは、初心者にとっては簡単なことではありません。
プログラミングスクールなど、プログラミング言語が学べる場所は比較的たくさんありますが、当然費用がかかります。

一方で、就労移行支援事業所や職業訓練校などを活用すれば、負担する費用はかからないか、
あるいはわずかな負担でプログラミングスキルを習得することができるでしょう。

就労移行支援事業所は、事業所によって習得できる内容が異なりますが、
最近ではIT関連の技術修得に特化した事業所も増えています。

 

将来のビジョンを明確に持つ

 

プログラミング言語を扱えればプログラマーとして働くことは可能ですが、所属企業の傾向によってプログラマーの働き方は異なります。
企業の求人に応募する前に、自分の将来のなりたい姿や働き方のビジョンを明確にしておきましょう。

たとえば、SES事業をメインに展開する企業に就職すれば、客先常駐でプログラミングを行う可能性があります。
障害を持つ人にとっては難しい働き方かもしれませんが、「さまざまなプログラムに触れて経験を積みたい」と考えている人にとっては、大きな成長機会となるでしょう。

また、ほかの企業からの依頼を受けてシステム開発を行う受託開発事業でも、プログラマーの需要は大きいです。受託開発事業者の場合は、自社内でプログラミング作業を行う場合が多いので、環境の変化が苦手な障害者の人には向いているかもしれません。

ほかには、Webサービスやパッケージソフトウェアを自社開発する企業があります。自社開発事業では、ゼロから自分たちのサービスを作り上げていく点でやりがいも大きいですが、開発計画の途中変更や、改善、修正などに柔軟に対応していかなければなりません。

このように、どのような働き方が自分にとってふさわしいのか、またプログラマーとしてどのようなシステムや製品づくりに携わりたいのか、というビジョンを明確にすることは、非常に重要です。

 

 

 

 

プログラマーの主な仕事内容

 

 

プログラマーが関わる業務には、どのようなものがあるか、改めて見ていきましょう。

 

プログラミング

 

プログラマーの主な役割は、SEやの作成した仕様書を基にしてプログラムを組むことです。「1と指示したら次のページに進み、2と指示したら前のページに戻る」などのように、コンピュータに対する指示内容をプログラミング言語を用いて書き上げます。

プログラミング言語にはJavaやC言語、PHP、Pythonなどさまざまな種類がありますが、時代の流れや制作物によって、使われる言語は変化しています。そのため、一つの言語に特化して学んでいくことも大切ですが、需要のある言語や、開発に必要になる言語を積極的に習得していく向上心が必要不可欠です。

 

テスト

 

システムやソフトウェアを正しく動作させるためには、事前のテスト業務が重要です。特に、構築したプログラムの内容が複雑になればなるほど、「バグ」とよばれる不具合やエラー、意図せぬ動作が起こる確率が高まります。このような不具合をテスト業務で見つけ出し、SEに修正依頼を出すこともプログラマーの業務のひとつです。

一方、近年テスト業務については、ソフトウェアによる自動化が進んでいます。現時点ではテスト業務は人の手によって行われるケースが多いものの、将来的にはソフトウェアによって行われる時代が来るかもしれません。ただし、ソフトウェアはプログラムの設計や進行の策定、結果の分析まではカバーできないため、これらの業務は今後も人の手で行われていくでしょう。

 

データベース構築

 

IT技術の普及や、扱う情報端末の高性能化によって、企業が蓄積できる情報量は増大しました。これまでは見逃されてきたような細かなデータから、一見何の役に立つのかわからないデータまで、企業はさまざまな形、性格、種類のデータを抱えています。このようなデータの集合体を「ビッグデータ」と呼びます。多くの企業において、ビッグデータを整理し、活用していくための「データベース」の構築が行われ、マーケティング戦略などに活かされています。

プログラマーとして幅広く活躍するためには、開発言語だけではなく、データベースに関する知識があるとよいでしょう。

 

API開発

 

APIとは、アプリケーション・プログラミング・インタフェースの略で、自社で開発したプログラムと外部のプログラムを連携させるための技術です。例えば、ECサイトなどのWebサービスに初めて登録する際に、すでに利用しているWebサービスのアカウントと紐付ける、というシステムもAPIの技術を利用しています。

API開発を行うことで、自社のプログラムに外部のアプリケーションの機能を追加しながら開発することができます。そのため、作りたい機能がすでにAPIで公開されているなら、同じプログラムを1から作る必要はありません。API技術を活用することで、開発時間を大幅に短縮できるでしょう。このように、Web上に公開しているAPIを探し出し、自社プログラムと連携させるのも、プログラマーの仕事の一つです。

 

バージョン管理

 

バージョン管理とは、開発を進めていくなかで生まれた成果物を変更・更新した履歴を記録しておくことを指します。ここでいう成果物とは、アプリケーションのプログラムが書かれたファイル、設定ファイルやXMLファイルなど開発によって利用されたさまざまなデータのことをいいます。

プログラムの書き換えは、ある機能を追加もしくは削除するときに行われますが、このとき、誰が、いつ、どのように変更を加えたのかを、記録・管理しなくてはなりません。多くの企業でバージョン管理システムが活用されていますが、これらの管理を主体的に行うのもプログラマーの仕事です。

 

 

まとめ

 

 

多くの企業でDX化が推進されるなか、IT人材への需要はますます高まり、供給を上回る状況が続いています。このようななか、IT人材市場における障害者雇用に注目が集まっています。厚生労働省のデータが指し示す通り、IT・情報通信業界は、他業種と比較しても、障害者雇用が進んでいる状況とはいえません。

しかし、働き方や業務内容を見直すことで、数多くの障害者雇用の実現が期待されています。

また、プログラマーという職種は、開発レベルによっては未経験者からの採用を行う企業も多く、よく使われる言語や学習環境も確立しているため、障害者がチャレンジしやすい職種といえるでしょう。今後プログラマー人材を採用していく際は、障害者雇用を検討してみてはいかがでしょうか。

H&Gでは、障害者雇用に関するノウハウを蓄積しています。上記のような雇用を検討したが、
やはり様々な業務切り出しも検討したいという方には、業務切り出しのお役にも立てると思います。

障害者雇用をご検討の方は、長期雇用実績のあるH&Gまでぜひお気軽にご相談ください。

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